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先日書きました「ZIGGY(ジギー)」のコピーバンドの話の続きです。
ベースボーカルさん(女性)、ドラムさん(男性)、そしてギターの私。練習スタジオでは練習以前の状態で、気まずい感じで終わりました。その後ベースボーカルさんから連絡があって「ドラムさんには辞めてもらって、二人で活動しましょう」と言われました。当時は彼女もいなかったので、たまにはいいかな?と思って、「そうですね、いいですね」と言ったきり、連絡も途絶えて自然消滅していきました。
時は流れて、岐阜県穂積町から名古屋の内勤を経て、三重県四日市市へ転勤していきました。この頃は仕事がものすごく忙しくて、当時は鬱病なんて言葉も知らなかったですが、完全に「鬱状態」でした。60kgあった体重は55kgまで落ちて身長183cmの私はやせ細っていました。ただプライベートでは名古屋で勤務していた時に付き合いだした彼女がいまして、それだけが心の支えだった気がします。しかしギターどころか音楽そのものへの意欲がなくなっていきました。たまの休みに彼女と会う事だけが、わずかな癒しでした。
ところが重労働がたたり、とうとう仕事中に倒れてしまいました。同僚に救急センターに連れて行ってもらい、点滴をされました。診てくれた先生からは「過労ですね」と言われました。何とかその日のうちに寮まで帰り、グッタリしてから彼女に電話しました。そこで私がどんなに疲れたかを滔々と一方的にまくし立ててしまいました。すると彼女は「私と仕事とどっちが好きなの!?」「きよは自分の事ばかりで私の事を全然大事にしてくれない!」というような事を言われてしまったのです。私は段々頭にきまして「そんな事言うなら、もう別れよう!!」と言い返してしまいました。彼女はその事に対してすごく言い返してきましたが、もう二人の関係はヒビが入ってしまいました。私は喧嘩が嫌いなのですが、彼女は「もっと喧嘩した方が良かった」と言い残しました。今思えば、私の方が幼かったように思います。
その後私はウイスキーをラッパ飲みしながら、片っ端に知り合いに電話して回りました。とにかくこのつらい気持ちをわかってもらいたかったのです。で、その中にZIGGYコピーバンドのベースボーカルさんが入ってました。何を話したのか覚えていませんが、「久しぶりに会って、話でもしようか」というような話だったと思います。その時はバンドのことなど、考える余地もなかったのです。後日談ですが、別れた彼女はその後激やせしまったと聞きました。
久しぶりに岐阜まで行きまして、ベースボーカルさんと二人で奥琵琶湖にドライブに行きました。私がよく知っている風光明媚な展望台に昇って、楽しかったです。でもバンドの事とかの話もしなくて、普通にドライブでした。
過労で倒れた現場から転勤になりました。そしてそこから横浜への転勤が決まっていました。ようやく苦労した四日市を離れることができる事に、少し安堵の心がありました。そんなある日、一本の電話がかかってきました。電話の相手はあのZIGGYバンドのベースボーカルさんでした。そこでこう言われました。
わたし、きよさんの事を男性として好きになりました。付き合ってくれますか?
とても嬉しかったです。嬉しかったのですが、自分自身が横浜へ行ってしまう事。そしてその頃には私に新しい彼女が出来ていた事。それが真実でした。それを伝えますと彼女は「そうですか・・・ありがとう、ごめんなさいね」という言葉を話して、電話は切れました。
バンドのメンバー同士が恋愛に繋がることは、決して少なくありません。それが前向きになった場合、より高みに昇華するものです。しかし時としてそれは上手くいかない事もあるのです。私とベースボーカルさんは、いつの間にか恋に落ちていたようです。練習スタジオだったり、琵琶湖へのドライブだったり、短い間でしたが楽しい事だけが記憶に残っています。ZIGGYの曲を演奏することは今日まで全くなくなってしまいましたが、時々曲を聴くことがありました。そのたびにそんな短い頃の事を思い出します。
今回はこれで筆を置きます。最後までお読みいただきありがとうございました。
では、また
きよ
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