ネックの反りを調整する 10月30日

随筆

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ギターの弾きやすさを考えた時に「弦高」・・・つまり弦と押さえるところ(フィンガーボード)との隙間の高さが大切になってきます。

この高さが高すぎると、とても弾きにくいです。無駄に力を入れないと音が鳴らないからです。
では逆に弦高を低くするのはどうでしょう?適度な低さに調整すればギターは格段に弾きやすくなります。ただあまりにも低すぎると、弦がフィンガーボードに打ち込んであるフレット(金属の棒)に当たってしまって、音が出なくなります。

つまり高すぎず、低すぎない丁度良い高さにするのが、ギター上達のひとつのポイントになります。弦高を調整する箇所としては

  • ナット
  • サドル
  • ネックの反り

があります。この中で「ネックの反り」というものを考えていきます。

ネックはギターの弦を棒として支えている部品であり、とても硬い木で出来ています。硬いのですが、色々な要因で反ってしまう事があります。理由としては

  • 弦がすごく太い
  • 置く場所が適切でない
  • 湿度や温度に影響される

などです。この中で「湿度や温度」は大事で、私の経験では「夏は順反り、冬は逆反り」になる傾向があると感じます。

順反りとは、ネックがまっすぐの状態よりボディーの表側に反ってしまう状態を指します。逆反りは反対にネックがまっすぐの状態よりボディーの裏側に反ってしまう状態です。一般には

わずかに順反りになっている状態が理想

と言われます。この「わずか」な状態を作り出すのに、ギタリストはとても敏感です。私が持っていたギターで、家においてある状態のネックが、スタジオに行くと反っていたりするものもありました。とてもいいギターでしたが、たったそれだけの理由で手離す程でした。

エレキギターは弦を支えている側の「サドル」の高さを変えられますが、ヘッド側で弦を支えている「ナット」の高さは変えられません。高さを調節するためにプロのリペアマンが専用の工具でナットを削って加工します。アコギは「サドル」の高さもほとんどのギターで変えられないので、これもリペアマンに依頼することになります。

その点、ネックの反りは私たちでも調節することができます。
トラスロッドという金属製の棒がネックの中を貫いていて、これを回すことでネックの反り具合を調節します。

トラスロッドを回すには六角レンチが必要です。これを用いて調節するのですが、ギターによってトラスロッドを調節するための穴の箇所が違います。

ヘッド側にあるものと、ボディー側にあるものの、2種類があります。これはギターによって違うので持っているギターを見て判断するしかありません。ギブソン系のギターはヘッド側にカバーが付けてあって、それをプラスドライバーで外すとトラスロッドが見えるようになっています。

アコギはボディー側のサウンドホールの中から調整するものも多いです。いずれにしても調整する時は弦をある程度緩めた状態で行います。

六角レンチでトラスロッドの六角形の穴を回します。順反りの場合は時計回りに、逆反りの場合は反時計回りの回します。いきなり大きくは回さず、角度でいうところの15度ずつくらい回してみます。この時「バキッ」と大きな音がしますが、これは大体のギターで鳴るものなので、あまり気にしなくても良いです。そして回してみたら弦を元のチューニングに戻して弾いてみます。あまり変わらないようなら、また弦を緩めて先ほどと同じ作業を繰り返します。

これも私の経験ですが、大体90度くらい回せば十分反りは直るでしょう。それ以上は反りが強くなりすぎて、逆効果になってしまうことが多いように思います。

例外としてストラトキャスターの古いものは、ネックを外してボディー側からドライバーで回して調節します。これはとても難しいので、極端に反っていなければやらない方が良いかと思います。

これでも反りが直らないようであれば、やはりリペアマンに依頼するのが良いでしょう。中にはトラスロッドでの調節はできなくて、アイロンで反りを直すケースもあります。

ネックの状態が良ければそれだけギターの弾きやすさに直結します。ナットやサドルの高さ、そしてネックの反りの3つが良い状態にすることがギタリストには求められます。

今私が持っているギターは、どれも1年通じてネックの反りが、ほとんど起こらないギターばかりです。なのでどれも手離すことなく、よく弾いています。ギターといえばアコギとエレキの違いくらいは見分けがついても、同じような形のギターはギターの事を知らない人から見たら「どれも同じじゃないの?」と思われてしまいがちなのですが、そういったコンディションもギター個体の違いじゃないかなと思います。

また違う機会に「同じようなギターだけど、音や機能が違う」という点に触れてみたいと思います。それでは今回はこれで筆を置きます。では、また。

きよ

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